「ギターを手にして音を出した瞬間、『これで僕の世界を表現できる!』と思ったんだ」
10年ほど前、とあるギタリストのインタビューで聞いた言葉。
ギターを弾く人、ひいては楽器を演奏する人だったら、この言葉に代弁されるような気持ちを、一度は抱いたことがあるのでは……なんて思ったりする。
楽器を演奏することの醍醐味のひとつは、ここにあるのだと思う。
ちょうと上の取材をした頃、「四十の手習い」を地で行くように、ギターを始めた。
3.11があったばかりで、世の中は不安な空気に包まれていた。何かを我慢している暇はない。そんな気分だった。
だから、ギターを始めた。
もうひとつ言えば、音楽系の雑誌の仕事をしていて、ドレミもわからないのはどうしたものか……という思いもあった。
以前、ドラムをかじったことはあったが、ドレミを知らなくていい楽器(いや、実際はそんなことはない……)だから、というのもひとつの理由だった。
とにかく、ギターを始めた。
先生に習い、年に2回、発表会で人前で演奏する機会をもらっていた。歌も歌っていた。それが大きなモチベーションになっていた。
そのうちにコロナ禍になって、再び世の中が不安な空気になった。
外出がままならない中、どう練習のモチベーションを保っていくか考えた結果、自分の中で導き出した答えのひとつが、動画を撮ることだった。
よく、楽器演奏の上達における有効な手段のひとつとして、「練習を撮る」というのが挙げられる。演奏を後から聴き直すことによって、改善点を見つけていこうというものだ。それをやろうという訳である。
別に、「そんなの最初からやっていればもっと上達も早かったろうに」という話でもある。
まぁ、甘えていたのである。
せっかくやるなら、と自分の中で以下のようなルールを作った。
●ただの練習たれ流しではなく、何か一曲とか、そうでなくとも「ひとつの作品」のようにまとまったものにする
●自分が納得いくものが撮れるまでやるのではなく、1時間なら1時間、と「締め切り」を設けて、その中でできたものを、不完全でもいいから出す
●撮ったのなら、それを何らかのかたちで人が観れる状態にする
そうやって作った第一弾が、これである。
このときはまだ携帯のマイクを使って撮っていたが、今はPCを介して録音している。
最新のものは、これである。今年になって、ルーパーというペダルを使って、音を重ねて録るようになった。
改めて自分で観てみると、果たして今のほうがいいのだろうか、昔のものには今の自分が失ってしまったものがあるのでは、、なんて思ったりもしてしまう。
ひとまずはここまでにして、続きはまた次回に。
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