宙に浮いて輝く「それ」


「それ」は、向かいの家の 2階の屋根の、1メートルぐらい上空で、小刻みに震えていたのだという。

午後の 5時を過ぎ、あたりはすっかり暗くなっていたが、人の顔ぐらいの大きさの「それ」は、赤、青、黄色などさまざまな光を放ちながら、震えながら佇んでいたのだ。ミラーボールのようなものを思い浮かべたら、案外実際と近いのかもしれない。

夕方のまどろみの中、雨戸を閉める時間だと気づいた彼女は、窓辺に立って、「それ」を見つけた。


「わぁ、きれい……」

それが彼女の第一印象だったという。

最初は、飛行機かとも思ったというが、次の瞬間には「それ」のはるか向こう側、はるか彼方の空を、本物の飛行機が横切っていった。「それ」は、やはりすぐそばにあるのだ。


どれぐらい「それ」を眺めていただろう。未知の光におそれおののくというよりも、あまりの美しさに、時を忘れて見とれていたのだという。

気がつくと、浮かんでいた「それ」は少しづつ、沈むように降りてきて、向かいの家の屋根の中に吸い込まれていった。


「向かいの家に起こる何かの、前触れなのかしら……」

我に帰った彼女は、次にそう思った。次の日、彼女は向いの家を訪れることになっていたので、そこで……と想像を巡らせてしまうのは当然のこと。周章狼狽してもいいところだが、今のところは杞憂に終わっているという。




さて。

本年は、自分にとって、今までにない大きな変化の年になる予定である。

というか、やるべきことがたくさんある。多忙の年である。

それらについては、こちらでレポートなり、書き出していくなりしていこうと思う。



最後に。

本年も何とぞ宜しくお願い申しあげます。



…………。

そうだった。

「それ」は、先月、実家の母が見たのだという。

一体「それ」は何だったのか。何か意味を持っているのか。

それとも、母が見た幻影だったのか。

いまのところ、誰にもわかっていない。

私の椅子はどこに

2022年11月に50歳を迎え、第二の人生が始まり、これからいろんなことがドラスティックに変わっていく――。 なんて、勝手に思い込んでいるフリーランス山﨑の、日々雑感です。 編集やライティングの仕事に加え、2021年に宅地建物取引士の資格を取得したので、仕事にも幅を持たせようという話、 あるいは趣味のギターやエンタメなどの話をしていきます。

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